「春よ来い」

その昔、大学受験を終えた娘が後輩たちへの受験体験記を書いたと聞く。 暫くして、偶然それと思しき冊子のページをめくるチャンスを得た。

「苦しかった受験勉強」・「偏差値ぎりぎりの勝負」と胃が痛くなるタイトルの多い中、「春よ来い」が目に留まった。

受験勉強という長く厳しい冬を越え、ようやく待望の春を摑んだ喜びにあふれる娘の文章だった。 読み終えて、私の心がほのぼのしたのを今もよく覚えている。

大阪から札幌へ来て久しい私だが、未だに北国の冬の厳しさに驚かされることは多い。

木々の姿もそれらの一つで、晩秋に葉を落とし体内の水分を地中へ下ろし、枯れ木になる。 本来の姿をさらけ出した幹や枝たちは、雪が木肌に張りついても、枝が少々折れても、愚痴一つ言わず、雪の中で堂々と立ち尽くしている。

春早く、雪に埋もれた幹の周りから輪状に雪解けが始まる。 地中の水分、養分を体内へ吸い上げる芽吹き活動開始の合図だと言う。

春の新緑を目指し、過酷な冬を耐え続ける自然界の営みは、受験勉強とどこか似ている気がする。

まだ積雪の多い今年三月の札幌だが、日ごとに日差しは強まり、軒先のつららが陽光に輝き、滴を落としている。

「春~よ来い、は~やく来い・・」、つい口ずさみたくなるこの頃である。

 


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