「花の咲くとき」

五月も半ばなのに、寒いし天候の悪い日が続いています。 一体札幌の桜はいつ咲くのでしょうか。 数年前、我が家に愛犬マリン(シベリアンハスキー)がいた頃の私のエッセイです。

「花の咲くとき」

昨年の五月、連休を迎えても肌寒い朝、愛犬マリンといつもの公園へでかけた。 と、目の前に、青空からピンクの緞帳を下ろしたかのような空間が現れ、びっくり。 前日まではなかった光景。 辺りに朝の冷気はなく、花の精が夜通し踊り続けたような熱気が満ちていた。

花が咲くから花の精が来るのか、花の精が舞うから花が咲くのかーー。 妙なことを考えながら、一本の木に近づき見上げた。 みごとに咲いているの、今にもはじけそうなの、まだ固いままの。 英語を教える私の仕事柄、咲いた先生役の花が、咲こうとしているつぼみの生徒たちを励ましているように見えた。

「あと、ひとふんばり! 左肩が下がってる」 

「これくらい?」

「うーん、バランスは良くなった・・けどぉ・・」

そんな話し声が聞こえてきそうで、二ヶ月前の英語の発表会のある場面を思い出した。 

普段はおとなしい小学一年のA君が‟Hello everyone.Welcome to our open class. I hope you’ll enjoy it.”と あっぱれオープニングの挨拶。 

父母からの大きな拍手に、はにかんだ彼の表情が忘れられない。 生徒たちの個性を大切にふくらませるための試行錯誤する毎日である。

桜と名付けられた一本の木に、一体いくつの花が咲くのか。 その数だけの個性が相まって醸し出すそこはかとない風情。

花の咲くとき、風の中に聞こえる花たちの話し声に耳を澄まし、その下をゆっくり歩く。 今年も至福のひとときを味わえる季節がやってくる。


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