「落ち葉の想い」

数年前から自宅近くの防風林の中を運動のため歩いている。

ここは札幌市が明治時代に風雪から住民を守るべく整備されたと聞く。 樹齢100年はあろうかと思われるポプラ、他にいちょうや白樺、ななかまど、桜など十数種類の古木が立ち並ぶ。 林の中は山のなかにいるようで、住宅地の真ん中とは到底思えない。 数十メートル続く、白樺の並木道を通り抜けるとき、まるで風景画の中へ自分が入り込んだみたいである。

この時季、木々の根元周辺には茶や黄色、うす紅やうす緑の無数の落ち葉が錦のじゅうたんの如く広がっている。 淡い色彩の中、ななかまどの赤い実が、ぽつり ぽつりと心憎いアクセントになっていて、自然という名工が織り成す巧みさに時を忘れて見惚れる。

11月の日差しを浴びた色とりどりの葉っぱたちが、くるり くるり と小鳥のように風に舞う。 枝から離れて、ゆらーりと空間を漂いながら落ちてくるのもいる。

「次に風が立ったら、かけっこする? それとも踊る?」。 「おひさまがあったかいね、鬼ごっこしようか、まだ雪はしばらく降らないかもね・・・かさこそ、かさこそ・・」。

そんな中、一枚の金色のいちょうの葉のおしゃべりが小さく聞こえる。 「ぼくたち、これからもずっと一緒に遊びたいよね。 でも駄目なんだって。 春の新芽のためにもうすぐ眠らなきゃ。 だから 今、いっぱい遊びなさい って」。

思いがけなく落ち葉の想いを聞いて、晩秋の林の中でほうきのようになった幹や枝がこれまでとは違い、数え切れない我が子を黙って見守る母親のようなぬくもりを持っている気がした。


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