「冬の朝の小さな楽しみ」

まだ明けやらぬ午前6時、いつものように目がさめる。 半年前に亡くなった愛犬マリンとの散歩は15年間続き、私の体内時計はいまだに刻まれている。

起き出して、カーテンを引く。 外は雪がちらほら舞っている。 お茶を飲むために湯を沸かす間、朝刊のいつものページに目をやる。

最高気温-6、最低気温-14 と、ある。 先ずは気温からのこの癖は、冬の朝の小さな楽しみを見つけた時から始まった。

数年前、散歩が大好きなマリン(シベリアンハスキー犬、雌、黒灰色、ブルーアイ)を犬舎から出すために、鍵を開けようとしていた。 その時、着ていたダウンコートの袖に舞い降りる雪、雪、雪、雪・・・・。

六角形のや、三角形、針状のもある。 まさに、書物で見た雪の結晶そのまま。 中心から、精密にデザインされた樹枝状の小枝が伸びて、完璧な対称形に見える。 ガラス細工の透明感と繊細な模様をまじかに見て、息を呑む。 1~2ミリのが多い中、稀に5~6ミリのが降ってくると、子どものようにはしゃいだ気持ちになった。 が、自然からの贈り物は、次々と私の袖にくっついては惜しげもなく丸い水滴に変わる。

「ウオーン、早くしてよ」と犬舎のマリンが大きな声で訴えてくる。 ドアが開くと待ってましたの勢いで外へ飛び出すマリン。 その頭にも、すぐたんぽぽの綿毛みたいな雪がふんわりのっかる。

結晶見たさに、私が顔を近づけた途端、ブルンと全身を震わせ雪を払い落とす。 「さぁ、行くよ」と力強くリードを引き、私を従え歩き出そうとするマリンだった。

そんなことを思い出しながら、やかんの沸く音に立ち上がる。 熱いお茶を一口飲む。 「久しぶりに散歩するか・・」。  明るくなった窓の外は、雪がまだちらほら舞っていた。


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