「ラーメン」

ラーメンが好きである。

札幌ラーメンに代表される味噌・しょうゆ・塩より、タンメンが好みで自宅近くのラーメン店へ、この数年間、夫が留守のときぶらりと独りで食べに行っていた。

魚介ベースのこくあるスープを飲むといつも顔がほころぶ。 炒めた白菜、小松菜、にんじん、きくらげの彩りがベージュ色のスープに溶け合い、その上に軽く盛られた白髪ねぎと一片のゆずの黄色も心憎い。 目にも舌にも私のお気に入りのラーメンなのである。

ところが、あるとき、独身の友人が「私、ラーメン店だけは独りで入られないのよ」と。 以来、私の中に変化が、自意識が妙に動き出す。

明らかに主婦と思しき女が食事時にラーメン店で独りで食べる姿。 家事はどうなってんだ? 亭主や子どもはいないのか? 妄想はふくらみ続け、天国の母が嘆く姿まで登場してくる。

女独りでラーメンを食べるのは、こんなに悩むこと? この時代におばさんが何をしようが、誰も知ったこたぁねぇー と強がるものの、以来ラーメン店への足が遠のいているのは事実で、恐るべき自意識力なのだ。

先日、私の誕生日に夫がどこかで食事をしようと。 待ってましたの勢いで「タンメンが食べたい」と私。 安いプレゼントを要求した後悔はあるものの、そこはかとなく嬉しさが湧いてくる。

夫とふたりで食べた久しぶりのタンメンは、残念ながら、独りで食べるときより美味しかった。


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